半世紀以上にわたり着ぐるみ(主に頭部)の骨格素材は、FRP(繊維強化プラスチック)・EPS(発泡スチロール)・発泡ポリエチレンで成型されています。いずれも丈夫で軽く適度な弾力性を有し、なにより少量生産に適した素材であることから着ぐるみ黎明期より採用されてきました。これらは通気性がなく断熱効果に優れた素材ゆえに熱中症リスクが高いことが欠点と言えます。

熱中症対策として頭部に電動ファンを取付ける仕様は古くから存在しますが、下記のようなデメリットが挙げられます。

• モーターの騒音
• バッテリーの重量
• 電気パーツの組立品がゆえの安全性担保の問題
• 換気口の露出がキャラクターの美観を損なう

なにより上記デメリットを上回るほどの期待する効果が得られないことから、当社では推奨しない理由をお伝えした上で安易な電動ファンの取付をお断りしております。だからこそ換気口の設計や通気性のあるマテリアルの研究を進め、電動ファンに頼ることなく着ぐるみ製品の機能面での解決を図ってまいりました。それでも、着用時間の短縮や水分補給の徹底、クールベストの着用など、着ぐるみ運用面での対策が必要であり機能面だけでは抜本的な熱中症対策として不十分でした。

そうした中で熱中症リスクを軽減できるエアータイプの着ぐるみが大変な勢いで普及しております。エアータイプの着ぐるみはそもそも着ぐるみ製品としては一長一短があることから、着ぐるみ発注時における選択肢のひとつとして慎重に検討することが重要です。しかしながら熱中症対策や保管・運搬などの運営するうえでの安全性や利便性を優先して採用される事例が多く、これについて当社では着ぐるみ文化の衰退に繋がる恐れがあるとして問題視しております。もちろんデザインの特性上エアータイプが向いているキャラクターもあり、この仕様自体を否定するものではありません。

キャラクターデザインに適正な着ぐるみの仕様を発注者に選んでいただくには、従来の着ぐるみが欠点とする熱中症リスクを低減できる骨格素材が必要不可欠であると捉え、次世代の着ぐるみといえる『スースーヘッド®』の開発に挑戦し実用化にこぎつけました。これは熱中症対策にとどまらず、パフォーマンスの向上をも実現する『着ぐるみとは最良のコミュニケーションツールである』と定義する当社の理念に恥じない革新的な発明です。

今後も安全性とエンターテインメント性の両立への取り組みに尽力し、より良い着ぐるみ文化の発展に注力してまいります。